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寝台列車に乗って、日は暮れる。
2007 / 06 / 09 ( Sat )
寝台列車の日は暮れる

別府から乗り込んだ初老の男性は、私の真向かいの席となり、缶ビールをピシッと空けて座席に腰を落とした。しまった、妻が作ってくれた手作りの弁当はあるが、他にドリンクやアルコール類のたぐいを買うのを忘れてしまった。心配したなー。今夜は超久し振りの禁酒日となりそうだ。

私は通路側にある収納式の椅子をおろして、車窓を楽しむことにした。別府の鉄輪温泉あたりでは湯煙りがたなびいている。別府は山から温泉の湯が、斜面に沿って街並みの下を流れるので、床暖房のように冬は暖かだという。ん、夏は暑いかもしれない。しかし海風がそれを冷やすだろう。

男性の方を見やると、缶ビールを飲みながら、クロスワードパズルの雑誌を取りだし、ペンを片手にそれを始めた。なるほど、長時間の列車の旅、本を読むのもいいが、クロスワードはまさに脳トレだね。記憶力、想像力、思考力を掻き立てる。ただ小説を読むより、頭の活性化にはいいかもしれない、と、そのおじさんを見て妙に納得できた。今度、買うかも知れない、クロスワード雑誌。

5時30分過ぎに列車は山あいの中山香、立石を過ぎる。ほどなく宇佐に到着、もう乗り込む乗客は誰もいない。駅を発車すると黄色い畑がある。麦が実って、収穫期を迎えているのだ。穂を駆られた畑も、数々見うける。そうか、宇佐は麦焼酎の本場。子供の頃、奈良市郊外の実家近くの麦畑でかくれんぼをした記憶が甦る。畑の畝は子供を隠すのには充分の高さ、縦から見れば丸見えだが。

宇佐から中津にかけて、麦畑も多いが、耕作を何年も放棄したような畑なのか、田んぼなのか、多く見られる。夏草だけが我が物顔に生え繁っている。中津に停車、誰も乗り込んではこない。特急ソニックをやり過ごして、列車は出る。売物件の看板が出たスーパー廃屋、閉ざされた広い駐車場の片隅に高校生の男女が腰をおろして話し込んでいる。帰宅を急ぐスーツ姿の中年おやじが汗を拭き拭き歩いている。高校のグラウンドでは野球にテニスに、6時をとうに過ぎているのに、部活が盛ん。しかし時折、雲間からのぞかせる太陽の位置はまだ高い。それが九州のまだ早い夕暮れ時。

ゆっくりと走る列車からは人々の様子が垣間見える。街並みもしっかりと見える。崩れた屋根瓦。閉められた商店。駅裏に拡がるただただ広い駐車場。やがてビルが林立する街、小倉。ホームのはじっこにカメラ小僧が3~4人、みんなコンパクトデジカメだ。一眼レフでないのが、ちょっと拍子抜けだが。門司で熊本からの寝台列車と合体。7時半、下関を出た頃に、ようやく夕焼け空になり茜色の雲も少しずつモノトーンに変わっていく。8時を過ぎたばかりだけど、外は真っ暗、酒もないので、もう横になります。
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